皆さん、こんにちは。
POPS研究会代表の呉(おう)です。
ピンチをチャンスに!
新型コロナウイルス感染拡大の影響が日に日に様々な分野で増してきています。歯科界にとっても到底看過できない状況なってきています。
院内感染予防対策、マスクなどの品薄の材料対策、従業員の休業扱い、融資や補助金などの手続き、予約管理など、多くのことを短期間で判断、実施しないといけない状況で、本業自体への集中がそがれる傾向にあります。
このような緊急事態の状況下で、健康増進型歯科医院はさらに難しい環境にあります。特に口腔内の主訴のない定期健診受診者は不要不急な外出自粛を控え、アポイントのキャンセルや延期の連絡が絶えません。
まして、歯科医院での保健指導はほぼありません。
しかし、いくら長いトンネルにも終わりがあります。
トンネルの先を見据えた対策が「今こそ」必要です。むしろ、終息後に今までにない健康増進型歯科医院が大きく花開くチャンスと感じています。
今回は「新型コロナウイルス感染拡大真っただ中だからこそ、今すべき健康増進型歯科医院のための対策」についてお話します。
まず、新型コロナ感染拡大とそれに関連する連日のマスコミによる報道などで、世間のマインドは「コロナ一色」に染まっています。ここに保健指導の大きなヒントがあります。
保健指導の成功は行動変容です。今まさに新型コロナ感染拡大によって、ほとんどすべての国民にある一つの行動変容が起きました。それは「マスク」です。
平時に多様な価値観のある人々を一つの共通の行動変容を起こすのは不可能です。例えば生活習慣で、すべての人から喫煙を排除したり、歩行習慣を作ったり、野菜嫌いを撲滅するのは不可能です。
しかし、このコロナマインドは、マスクの品薄にも関わらず、いとも簡単に短期間に、マスク装着という強烈な行動変容を、ほぼ全国民に見事に実現させたのです。これは人間の行動科学的に非常に重要なポイントです。
このコロナマインドは歯科医院での保健指導においても、大いに応用できると考えています。
ただ、緊急事態宣言などによる外出自粛要請や在宅勤務などがあるうちの話ではありません。
強調したいのは歯科医院での保健指導のタイミングです。コロナ感染拡大が収束して、ピークアウトを迎えた段階です。
今、世間は確かにコロナマインドですが、先が読めない不確実性の中に緊張感が漂っています。
目に見えない不安や恐怖の中で、とても歯科医院で定期健診を受けて、まして保健指導を受けたいひとは皆無です。
それが、ひとたび 感染拡大が収束して、専門家や政府の「お墨付き」がついた段階で、コロナマインドは依然として残るものの、不確実性や緊張感から多少解放されて、普段の自分の生活に戻り、意欲もわいてくるはずです。
しかしながら、世界的な新型コロナウイルスの猛威もいずれ完全終息して、時が経ちすぎると、頭から、「コロナ」の文字も消え去る人も出てくるでしょう。したがって、コロナ感染拡大が落ち着いてはいるものの、まだほとんどの国民にコロナマインドが存在する段階に、歯科医院での保健指導を上手く再導入するべきと考えます。この人生で一回しかないであろう特異的なタイミングを利用しない手はありません。
そこで、POPS研究会で提唱するヘルスコーチングのチャートに重ねて解説していきます。
(図1)
保健指導で行動変容を実現するための第一歩は@「一緒にいる」という信頼関係です。
世間にコロナマインドが残っている間は「在宅勤務でした? 仕事中も家にいるとストレスですよね。」
「お子さんが2、3か月家にいると、勉強の進み具合も不安ですよね。」
「ほんと、ウイルスは目に見えないし、感染しているかもしれないし、知らない間にうつしているかもしれないし、怖いですよね。」
など、コロナに関連するどんなフレーズでも多くの共感を患者と共有して、普段より高いレベルで短期間に「一緒にいる」を構築できるはずです。
(図1)
「一緒にいる」の次はA「今の自分」と「なりたい自分」のステージです。コロナマインドで少なからず、ウイルス感染したくないという気持ちは多くの人に少なからずあるはずです。
日ごろからコロナの脅威にさらされていれば、少なからず「かかりたくない」という「なりたい自分」は持っているはずです。潜在的であれ、顕在的でこれに気づかせます。
次にB「情報提供と提案」ですが、政府やマスコミなどで報じられているほとんどのコロナ感染予防対策は人やウイルスとの接触をなるべく避けるための対策で、免疫力についての報道は少ないです。
なぜなら、公衆衛生的な観点では人との接触をコントロールする方が免疫力に頼るより、はるかに管理しやすいからです。
しかし、長期的にみると本質的にはこの免疫力が極めて重要と考えます。風邪でも人は死にます。
感染しやすく特効薬がないことを理由に新型コロナウイルスを恐れるなら、風邪もインフルエンザも正しく恐れるべきです。
薬がないということは、正しい予防法を徹底し、病気にかかったら自己免疫で闘うしかありません。医師ができることは症状を抑える対処療法しかないのです。
熱が出たら、解熱剤、痰が出たら痰を切る薬。コロナもインフルエンザや風邪と一緒です。重症化に対する備えは自己の免疫力が頼りなのです。
まず、歯科医院での「情報提供」は、前回のメルマガで添付した3つのチカラ、「唾液のチカラ」、「鼻のチカラ」、「歯科衛生士のチカラ」を活用して、ガム咀嚼、鼻呼吸、口腔衛生などを、衛生士などからわかりやすく、お伝えします。そして、コモンリスクファクターを応用して、免疫力を高めるための、睡眠、栄養、運動などの口腔内以外の生活習慣についてお伝えするのです。
(図2)コロナウイルスや免疫力と関連する生活習慣に関しては、近日に更新したいと思います。
図2
そのあと、C「宣言、実践、実感」です。実際に免疫力を高める生活習慣を取り入れると、
「疲れにくくなった」「風邪をひきにくくなった」「気もちが前向きになった」など様々な些細ですが、重要な変化が出てくるはずです。
このように、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに定期健診毎に保健指導を常態化して、以前よりもはるかに健康増進型歯科医院を強固に定着化するチャンスと考えています。
この4つのステージをそれぞれの歯科医院の事情に応じて、スタッフと一緒に今から対策を講じて、コロナ終息直後の来るべき日に「今から」備えていきます。
少なくとも、コロナマインドに寄り添った「一緒にいる」の構築と、免疫力を高めるための口腔衛生の重要性はしっかり対策をとって、正常な社会生活が戻った後に備えることは強くお勧めします。
歯科への逆風も絶えませんが、健康増進型のアイデンティティーをしっかり持ち、今できることをしっかりやって、以前よりも強靭な健康増進型歯科医院の構築を目指し、患者の口腔と全身の健康にさらに寄り添っていけるように、頑張りましょう。
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では、今後とも「みんなの元気を支える歯科」を考える会、POPS研究会を宜しくお願いします。
呉 沢哲
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