皆さん、歯科の定期健診を受けてますでしょうか。
このコーナーではまず定期健診と
心身の健康のかかわりについてお話しします。
実はこの10年ほどの疫学研究で、全身と口腔の健康を関連付ける文献が国内外から多数出てきました。
2015年には、これらのエビデンスを日本歯科医師会の深井獲博先生を中心に全身と口腔に関する300ページ近くにもなるエビデンス集として発刊されました。
このエビデンス集には1011もの論文が引用されていて、それぞれの論文は約20倍もの論文の中から、より精度の高いものだけを抽出した1011の論文です。
これだけの確固としたエビデンスがあるので、政府を動かし、健康日本21にも歯と口腔の重要性が大きく謳われているのです。
「健康寿命社会の寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス」
まず、政府が掲げる「健康日本21」の方針の一文を紐解いてみます。
健康日本21(第2次)
第一 国民の健康の増進の
推進に関する基本的な方向
5.栄養、食生活、身体活動、運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣、社会環境の改善
政府が掲げる健康日本21の中で、5項目目に
個々人の行動目標があげられていますが、臓器の中で唯一「歯・口腔の健康」とあります。なぜ、心臓や脳など重要臓器の健康ではなく、「歯・口腔の健康」なのでしょうか。
実はこの10年ほどの疫学研究で、全身と口腔の健康を関連付ける文献が国内外から多数出てきて、政府も国民の健康増進にはどの臓器よりも「歯・口腔の健康」が重要であるという認識するようになりました。
2015年には日本歯科医師会の深井獲博先生を中心に全身と口腔に関するエビデンス集が発刊されました。
下の表は2016年NDB(ナショナルデータベース:通称ビックデータ)をもとに全国の男女世代別で歯の本数の多い群と少ない群での医療費を比較した表です。
ほとんどの世代において歯の少ない群で医療費がかかる、つまり健康状態がよくないことがわかりました。
また首都大学 星団二教授の疫学研究で、 かかりつけ歯科医を持っている人は、 持っていない人と比べて生存率が高いことがわかっています。
その他、かかりつけ歯科医をもつと・・・
- 要介護認その他定を受ける率が低い
- 生活自立度が高い
- 外出頻度が多い
- 趣味活動を活発にしている
- 「自分が健康だ」と思っている
- 友人・近所づきあいが多い
ということが星教授の疫学研究で明らかにされています。
次に歯科医院で保健指導を行うことの有効性についてお話しします。
歯科医院は保健指導を行うのに最適な医療機関です!
理由その1
公益財団法人8020推進財団によると、
ほぼ半数以上の人が6か月以内に歯科医院を受診しています。
理由その2
歯科医院に通う患者の世代別のデータ(厚生労働省2014)と日本の人口構成(総務省2015)を重ねると、世代構成が近似していて、
あらゆる世代が歯科医院を受診していることが示唆されています。
つまり、理由その1とその2から、歯科医院はあらゆる世代が頻繁に通所する医療機関という特徴があるのです。
このように、歯科定期受診は心身を元気にします。また、歯科医院で定期健診毎に保健指導をすることで、心身の健康を見直す機会ができれば、なお一層健康増進が進みます。
将来的に保健指導を実施する歯科医院の輪が全国で広まれば、歯科医院が健康ステーション化し、あらゆる世代の健康増進化が広く進むと考えます。
POPS研究会では、保健指導を実施している全国の歯科医院の会員名簿を公開しています。
会員名簿はこちら
最寄りの保健指導を行う歯科医院に足を運んではいかがでしょう。