DAY14 ヘルスコーチングによる行動変容
ここからはヘルスコーチングで、いかに行動変容に導いていくかをSTEP BY STEPでお話しします。
これからのお話は多少難解な部分があるかもしれません。
理解を明確にするためには、その論点で対象を明確にすることがポイントになります。
ヘルスコーチンの場面で、対象は単純にクライアント(患者さん)とコーチ(衛生士)の2人です。
どの場面で、どの対象者(クライアントかコーチ)が何をしているか、何をしようとしているか明確にする必要があります。
そこで、各場面でクライアントがかかわる場面を赤枠、コーチがかかわる場面を青枠で、囲いながら話を進めていきます。
まず、一番最初のステップは「一緒にいる」の構築です。
「一緒にいる」は信頼関係の一つですが、行動変容成功へ導くために、極めて重要なステップになりますので、詳しく解説します。
「一緒にいる」には3つの段階があります。
誰でも自分の「色眼鏡」を持っていますが、この場面ではコーチは自分の「色眼鏡」を封印して、クライアントの言葉と気持ちに向き合います。
- 第1段階でしは図のように、まずコーチはクライアントのありのままを受け入れます。
- 第2段階は色んな言動でクライアントは知ることができます。
- この第3段階まで至り、コーチがクライアントの開いた心をグリップしている状態が「一緒にいる」という信頼関係です。
クライアントも数十年の人生経験で得た価値観がありますので、つい「でも・・・」、「そうはいっても・・・」とつい言葉に出たり、表情に現れることもあるかもしてませんが、意識として、ひたすら傾聴して、共感することに努めます。
誰でも自分の「色眼鏡」を持っていますが、この場面ではコーチは自分の「色眼鏡」を封印して、クライアントの言葉と気持ちに向き合います。
気長に向き合って、共感する姿勢を貫いていると、必ず、クライアントはコーチに共感してもらっていると感じで、心を少しずつ開き始めます。
これが第2段階です。注意しないといけないのは、第2段階に至るのに、場合によっては時間を要するということです。
一回の来院では第2段階に至らない場合もありますが、コーチはクライアントと向き合って、共感に努めます。
実際の臨床現場では、DAY13でも述べたように、ティーチングとコーチングの使い分けが必要なので、定期検診の時間枠内で、ティーチングの場面からコーチング場面に切り替わった時に、傾聴して、クライアントの第2段階を待つことになります。
例えば、普段笑わない人が笑ったり、自分の身の上話や趣味のことを自発的に話をしたり、こちらが天気の話をしたら、それに話を膨らませて、返してきたりと様々ですが、その言動の変化をクライアントは観察します。第3段階はまさしくコーチが「クライアントが心を開いた」と感じた習慣です。
つまり、第2段階、第3段階はコーチがクライアントの反応に研ぎ澄ましてさえいれば、ほぼ同時に起こります。
ただ、「一緒にいる」のレベルにも程度があり、高いレベルで「一緒にいる」を構築していればいるほど、将来の行動変容成功へ導きやすくなります。
「一緒にいる」の構築
段階的
A・・共感できている状態
B・・部分的に共感できている状態
C・・全く共感できていない状態。クールな距離感
「一緒にいる」レベルがどの程度かで、次のステップに進むか進まないか判断します。Cの全く共感できてないクールな距離感で、禁煙の話をしても「はあ?それはいいから治療お願いします。」みたいなちぐはぐな話になって、場合によっては未来院につながりかねません。ある程度、「一緒にいる」が構築されて、次のステップに入ります。