今回は、腸のトラブル=脳のトラブルになる理由についてお話します。
腸粘膜の“目が粗く”なる=機能が低下すると、様々な弊害が起こります。
“ざる”を思い浮かべてください。健康な腸粘膜は目が細かいザルと同じで、小さな分子のものしか通しません。一方、機能が低下した腸粘膜は目が粗くなってしまっていて、大きな分子も入っていけるのです。
このように、腸粘膜の目が粗くなった状態が、リーキ-ガット(腸管壁侵漏)症候群と呼ばれるもの。糖質をはじめ、栄養素の吸収速度が速くなるため、血糖値の乱高下(低血糖症)が起こり、脳のトラブルの引き金にもなります。
さらに、たんぱく質も大きな分子のまま入ってきますから、それが抗原となって食物アレルギーが起きたりします。食物アレルギーはいくつかのタイプに分かれますが、あるタイプのアレルギーは、うつやイライラなど精神状態を引き起こします。
また、多動性や自閉症といった子供の発達障害についても、リーキガット症候群とのかかわりが指摘されています。
◎腸は“第二の脳”とされていますが、腸のトラブルは脳のトラブルにつながっているのです。
☆腸粘膜が弱る4つの原因☆
1、 粘膜の未熟です。腸粘膜は他の組織に比べて成長が遅いため、早い時期から離乳食を与えてしまうと、うまく機能できなくなります。子供に小麦や卵のアレルギーが増えているのは、そうした理由による腸粘膜の機能低下が原因になっている可能性が高い、といっていいでしょう。
2、 2つめは栄養不足。組織の入れ替わりが速い腸粘膜は、栄養状態の変化に敏感です。栄養が不足すると、すぐにもその影響を受け、機能が低下してしまうのです。
3、 3つめは抗生物質の多用です。風邪をひいたら、決まって抗生物質を使うといったように、今は安易に抗生物質を利用する傾向が強くなっています。抗生物質を使い続けると腸内細菌ノバランスが崩れ、腸粘膜の機能が落ちます。解熱剤やステロイド系の薬も同様で、悪玉菌が増え、善玉菌が減ってしまいます。
4、 4つめはカンジダ感染。カンジダとはカビのようなもので、私たちの体のどこにでもいる常在菌です。通常、悪さをすることはないのですが、たとえば免疫力が落ちているときなどには、これに感染してしまうことがあるのです。腸内でこのカンジダによる感染が起きると、ちょっと厄介なことになります。腸粘膜にダメージを与え、機能を弱らせてしまうのです。ちなみに、カンジダの大好物が精製された砂糖。つまり、砂糖をたくさんとると、それをエサにカンジダが増殖し、ますます腸粘膜を痛めつけることになります。
参考資料 アステラス製薬