2015年最初の健康ブログ本年もよろしくお願いします
みなさんは睡眠不足によってメタボのリスクが大きく高まることをご存知でしたでしょうか
メタボリック・シンドロームは、「肥満」「高血圧」「高血糖」「脂質異常症(高脂血症)」が重なることによって心臓病や脳卒中などの命に関わる疾患のリスクが高まる病態のことを指します。メタボの4つの危険因子のうち、肥満、高血圧、高血糖については、睡眠不足によって悪化することが科学的に判明しています。また、残りの脂質異常症も睡眠の不足によって影響が現れることがわかっています。アメリカの医学界では以前からメタボの予防と解消には「睡眠不足を解消すること」が必要不可欠とされているのです
では、睡眠が不足すると、具体的にどのようなリスクが高まるのか、順に見ていきましょう。
まずは、肥満。
睡眠不足が続くと太ることは、様々な研究で証明されています。
アメリカのコロンビア大学の研究チームが行った疫学調査、「7~9時間の睡眠の人に比べ、4時間以下の睡眠の人は肥満率が73%も高く、5時間睡眠の人の肥満率も50%も高い」ことが分かっています。また、アメリカ・スタンフォード大学の疫学調査では、「短時間睡眠の人は、食欲亢進ホルモンのグレリンが増加して、食欲抑制ホルモンのレプチンが減少する」ということもわかっています。
すなわち、睡眠時間が短くなるほど食欲を抑えられなくなり、ついつい食べてしまうようになるのです。
さらに、その場合、ごはんやパン、甘いものなどの糖質の摂取が多くなることもわかっています。これらの糖質は体内に入るとブドウ糖になり、余分なブドウ糖が脂肪に変えられ、脂肪細胞としてストックされていくことにあるのです。
しかも、睡眠が足りていないと疲労感が増し、日中の活動量が落ちてエネルギー消費量が減少します。摂取エネルギーばかりが増えて消費エネルギーが少なければ、当然、余分なエネルギーが蓄えられていく一方。それで睡眠不足が続くと、どんどん太ってしまうわけです。
つぎに高血圧と高血糖について
アメリカのシカゴ大学の調査で、「5時間睡眠の人は、6時間睡眠の人に比べて高血圧リスクが37%も高まる」ことが分かっています。また、コロンビア大学の調査でも、「5時間以下の睡眠の人は、7~8時間睡眠の人と比べると高血圧になる確率が倍になる」という結果が出ています。
血圧は自律神経の影響を受けていて、睡眠不足が続くと交感神経が緊張したまま下がらなくなり、血圧や心拍数、呼吸ピッチを上昇させるように働きます。このため、仕事が忙しくてろくに寝ないような日々を送っていると、血圧が上がってしまうことが多いのです。
睡眠時間と糖尿病の因果関係を調べた研究も世界各国で行われていて、睡眠不足や不眠によってⅡ型糖尿病の発症率が2倍に上昇することなどがわかっています。
このように、睡眠不足は、肥満や高血圧、高血糖を招き、メタボになるリスクを大きくアップさせてしまうのです
日本人の睡眠時間は世界各国と比べると相当に少なく、ハイリスク者は数えきれないほどいるはずです。しかも、日本人には医療関係者からして「睡眠の不足がメタボにつながる」という意識があまり浸透していません。
睡眠不足はメタボのいちばんの危険因子だった
ですから、健康診断などでメタボを注意された方は、食事や運動面だけでなく、ぜひ日ごろの睡眠を見直してみるようにしてください
参考資料:「睡眠力」を上げる方法 白川 修一郎医学博士