インターネット・ゲーム依存症

インターネット・ゲーム依存を中心に、それ以外のインターネット依存も含めると、その数は、子供成人を合わせて、わが国だけで500万人以上と推定されています。インターネット・ゲームなどのやり過ぎで日常生活に支障をきたす症状について、世界保健機関(WHO)が2018年6月、「ゲーム障害」として認めました。

「ゲーム障害」は、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活よりゲームを優先し健康を損なうなどの問題が起きても続けてしまう特徴があると定義され、ゲームを最優先する、問題が起きてもゲームを続ける、個人や家族・社会・学習・仕事などに重大な問題が生じるとされています。

 

1.近年のインターネット・ゲームとは

ゲームと聞くと広く思い浮かぶものに家庭用ゲームがあります。しかし、現在その中心となっているのは、インターネット・ゲームと呼ばれるインターネット経由でのゲームです。

すぐに遊ぶことができ無料で遊べるものも多数あり、操作性も簡単。また、ネットゲームを通して、世界中のゲームプレイヤーと対戦型などの形でコミュニケーションをはかれたり、あるいは世界中のゲームプレイ仲間との関係という、新しい形のコミュニティが生まれることにつながったりしているなど、その世界は急速に発展しています。

 

2.依存症が及ぼす体への影響は?

インターネット・ゲーム依存の状態が続くと、以下のように様々な体への影響がみられます。

生活が乱れていくと、、、

 

①眠らない

朝方までゲームを続けてしまい、昼夜逆転状態になる

 

②食べない

ゲームから手が離せず食事がおろそかになる

 

③動かない

家にこも運動量が極端に減る

 

↓ ↓

 

体調も不安定に

①発育の異常

低栄養状態になり身長や体重、筋力の発育に異常がみられる

 

②骨粗鬆症

足首などの骨がやわらかくもろくなってしまう

 

③視力の低下

長時間見続けることで視力の低下や目の疲れを訴える

 

④筋力や体力の低下

運動量が減って筋力や体力が低下

 

⑤頭痛や吐き気、倦怠感

生活習慣の乱れにより頭痛やめまい、肩こりなどの症状が出やすくなる。

 

 

精神的にも乱れる

①イライラ、攻撃性

実生活でイライラしやすくなり攻撃的な言動をとったりする

 

意欲、関心の低下

色々な物事に対して意欲や関心をもてなくなり無感情・無表情になる。

 

また依存することで脳が壊されていき、神経過敏、コントロール障害、不安、うつ状態、注意力の低下、社会的機能の低下がみられる。

これは、アルコールや薬物依存と同じと判断されています。

 

3.病気に気づく!どこまでのめりこむと「ゲーム障害」なのか

2つのサインがみられたら「ゲーム障害」。

サイン① 健康面の問題

不眠・昼夜逆転などの睡眠異常、イライラ・焦燥感など心理の乱れ、眼精疲労・視力低下などの目の異常、1日1食になるような食生活の乱れ、服装や入浴などの衛生面の乱れ

 

サイン② 社会的な問題

学校や会社での成績が低下する、学校や会社に遅刻・欠勤する、家事や育児などの役割分担を 放棄する、家族や友達との会話が減る、攻撃的な態度・暴言・暴力がみられる

 

4.依存症を予防・改善しよう!

依存を一気に解決しようとしても、うまくいきません。まずは悪化を防ぐことを目標にしましょう。

依存を防ぐには生活改善が欠かせませんが、そこで大事なのは焦らないことです。インターネット・ゲームの使い方を考えて、少しずつ調整していきましょう。

 

方法① インターネット・ゲームを急に遮断しない

インターネット・ゲームができなくなると、ストレスが増え暴言や暴力につながったり、オンラインの人間関係などの崩壊にもつながる

 

方法② クレジットカードは未登録にする

課金額の上限を決め、すぐに決済できない環境にする

 

方法③ 食卓や浴室での利用をなくす

インターネット・ゲームをしない時間をつくる

 

方法④ 新しい趣味をつくったり、家事をする

本人が得意なことや熱中できることを探す

 

方法⑤ 家庭外での活動を増やす

運動や旅行、アルバイトなど家庭の外に出て活動することを増やす

 

5.インターネット・ゲームとの付き合い方

インターネット・ゲームにマイナス面だけでなく、プラス面があることも証明しています。

総務省の2010年の調査によれば、インターネット・ゲームにより「毎日が楽しくなった(79.9%)」、「人にやさしくなれるようになった(38.1%)」等のポジティブな面があることがわかっています。

また、ネットいじめについては、実際の加害経験、被害経験ともに学校でのいじめよりも低い結果にもなっています。他にも、世界中の人たちと友だちになれるというような、これまでは一部の方だけに限られていた世界の広がりを、誰もが持てるようになっているという面もあります。つまり、インターネット・ゲームの利用は、適切に使えば多くの効果が見込めるものでもあります。

 

「なくす」のではなく、「うまく使う」ことが非常に重要!

 

参考書籍

文春新書 インターネット・ゲーム依存症 岡田尊司

講談社 ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本 樋口進