脳卒中について
脳卒中は死因別割合としては減少傾向で、「死なない病気」になりつつありますが、実は脳卒中そのものは増えていて、要介護になる原因としては認知症の次にくる疾患です。
さらに言うと、認知症の3割は脳卒中が原因であるため、実質的には脳卒中が要介護の原因、第一位となります。
実際、当院から歯科の訪問診療に行くと、車いすで手足が拘縮されている脳卒中患者さんをよく見かけます。
脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れたりして脳に血液が届かなくなることで、脳の一部の細胞が死滅したり傷つく病気で、治療によって出血や血管の詰まりが解消された後も、後遺症が残ることがあります。
1分でも早く処置できれば、その後の症状が軽くなったり、後遺症を残さず回復したりすることもあります。
脳卒中の特徴として、徐々に具合が悪くなるということはなく、たいてい突然発症します。
発症のタイミングは様々で、夜中にトイレに起きた時や、朝目覚めた時に異常に気づいたり、昼間・仕事中に急におかしくなるというパターンがほとんどです。
脳卒中になって患者さんが困るのは、例えば麻痺が原因で日常生活に支障をきたすことです。
脳卒中になったら
発症早期(可能であれば当日)から、麻痺がある手足の関節を無理なく動かす訓練を行いましょう。
これは、麻痺のある手足を動かさないと関節が固まって、機能回復があまり期待できなくなるためです。
麻痺の程度にもよるりますが、病状が安定していれば早期から座った姿勢(座位の姿勢)をとるように訓練をして、
座位が安定すれば立つ(立位)訓練を始め、安定して立てれば歩行訓練へ進みましょう。
さらに起居・移動・更衣・整容(身だしなみを整えること)・食事・排泄など日常生活で必要な動作の訓練をしましょう。
また、患者さんは心理的に大きなダメージを負うため心のケアが必要です。
心のケア
患者さんは、麻痺やことばの障害などの症状、自分が今どんな状況に置かれているかを受け入れるまでに、時間が必要です。時間の経過とともに焦りや再発するのではないかと不安も抱きます。
不安や心配から、うつ状態になる患者さんに対しては、カウンセリングや薬物療法などを行うことがあります。
脳卒中になる予兆
次の症状がでたら、脳卒中を発症する確率が高いと言えます
このような症状がでたら、放置せずに案内医療機関への受診をしましょう。
脳卒中の原因と予防
次のような生活習慣を行っている方は脳卒中になりやすいと言われています。
このような生活習慣をお持ちの方は要注意!
脳卒中を予防するには、次のような生活習慣を心がけると良いと言われています。
このように脳卒中は「死なない」病気ではありますが、とりわけ介護現場では非常に「身近な」病気です。
一回、発症すると、QOLが著しく低下して、心理的にも大きなダメージを負います。
ですから、何より日々の生活習慣と予防が大事です。そして、発症前予兆を見逃してはいけません。
自分のために、そして家族のために心当たりのある悪しき習慣があれば、見直すきっかけにしましょう。