こんにちは!今回のテーマは足と足指からの学びです。
近頃、町中でよく見かけるのが、膝を曲げて猫背になって頭を前に出して歩いている人の姿です。携帯電話やスマートフォンをいつも使っているために前屈みになって腕を振らずに歩いている影響もありますが、チンパンジー、ゴリラなど類人猿の歩き方とよく似ています。
類人猿と人間の大きな違いは、土踏まずにあります。類人猿の足には土踏まずはなく、木の枝をつかみやすいように平らでつま先が大きい扁平足をしています。
つまり、類人猿のような前方頭位姿勢で歩く人が増えている理由は、あるべきはずの土踏まずが崩れたり、形成されずに重心がかかとよりに移っているからです。
ではどうして土踏まずが崩れたり、形成されなかったりしているのでしょうか。
土踏まずは生まれたばかりの赤ちゃんにはありません。歩き始めるようになって徐々に形成されていきます。歩き始める頃には中足骨がほぼ完成し、2~6歳までに十分な足や足指を使う運動をすると、骨と靭帯が鍛えられて土踏まずがつくられていきます。ですが、現在はハイハイすることなく、すぐにつかまり立ちしてしまう住宅環境。中には子どもがハイハイをすると不衛生と考える親もいるようです。幼児期になっても木登りなどは危ないと、外遊びをさせることもなくなっています。子どもの成長期に必要な多様性のある運動をしなくなったことが原因で、足指や足裏が鍛えられなくなっています。
未完成な土踏まずでは、バネの働きがなく地面からの衝撃を十分に緩和できないので、疲れやすく足底に痛みが生じて歩けなくなることもあります。そして高齢になると、足の筋肉は加齢とともに衰え始めるので、足のアーチはいっそう崩れやすくなります。
その結果、横のアーチが崩れると開張足や外反母趾に、縦のアーチが崩れると扁平足になりやすく、窮屈な靴や大きすぎる靴を履くと屈み指や浮き指、ハイアーチになっていきます。
足や足指に異常がある人は、不安定さを補うために、重心をかかと寄りにし、後方に倒れないように膝を曲げ、前方頭位、いわゆる猫背の姿勢をとるようになります。
こうした頭を前方に出す姿勢では、口が開きやすくなります。それは肩甲骨の角度が変化し、肩甲骨と舌骨をつなぐ肩甲舌骨筋や胸骨と舌骨をつなぐ胸骨舌骨筋が伸びて、舌骨の下後方への牽引力をつくりだしてしまうからです。この力は顎二腹筋前腹などを介して下顎に伝わり、下顎が後退・下制(押し上げる)方向へ引かれて、口がぽかんと開いてしまいます。ですから猫背の人は口がぽかんとあいているのです。そして頭頸部の筋肉も緊張状態にあり、気道も狭くなり、鼻の通りも悪くなるので、口呼吸をしやすくなるわけです。またこの姿勢は、後頭部から背中に広がる僧帽筋の衰えを招きやすく、つながる顔の表情筋に影響を及ぼし、たるみや老け顔にもなります。
矯正靴下による重心の安定性はパワーテストで確認できます。また、このテストは自分に靴のサイズがあっているかどうかテストをすることも可能です。
まずパワーテストは2人で行います。パワーテストを受ける人は、普通の靴下をはいたままで足を踏ん張って立ちます(靴を履いても可)。両腕を背中側にまわし、お尻の後ろで手のひらを上にして、5本の指を組みます。次にパワーテストをする人が手のひらの上にこぶしを乗せて下に強く押します。そうすると、後ろに傾いてバランスを崩し悪い方の足が後ろに出ます。
次に矯正靴下に履きかえ、こぶしで押す力を変えず同様にパワーテストを行います。今度は足元はビクとも動きません。まったく同じことをしても前のめりにならない、後ろに傾かないのは矯正靴下を履いて足の指が伸びてアーチが元に戻り踏ん張る力が強化されたのです。
足指を広げるためにいろいろな種類の足指矯正具が販売されています。取扱説明書などには、素足のまま足指を挟むように書かれています。しかし、それでは足指の曲がった状態のまま広げることになります。矯正靴下を履いて指をまっすぐにした状態で使用することが最も効果的な方法です。矯正器具をつけた後は、かかとを上げて、足指に体重をかけて部屋の中を歩き回りましょう。初めは装着するのが大変だった人は、まず5分間、そして10分間と徐々に慣らして、継続することが足指を元気にしてくれます。足指が使えていない人、外反母趾や開帳足、内反小趾、浮き足などの人は、ソフトタイプから足指を元に戻すトレーニングをし、ハードタイプに移行し数カ月も続けていくと、足指の形に変化がでてきます。お風呂に入って体を温めた後は足指が柔らかくなっているので実践しやすいでしょう。
矯正靴下は一般販売しておりません。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。
参考著書:人生が変わる!足指スローストレッチ 著者:西川岳儀×松藤文男・松藤克也