こんにちは。今回は”ごきげんな生き方”について
“病は気から” も、 “笑う門には福来たる” も、実は本当のお話。
クヨクヨしていると病気になって、ニコニコしている人には幸福が訪れる。それは科学的に証明されつつあるのです。いつでも前向きに考えられる “ごきげん” な人は、健康で長生き、よりハッピーな人生になるというお話です!
コップに半分の水は少ない? 多い?
想像してみてください。今、あなたは砂漠にいて、とても喉が渇いています。そこに偶然通りかかった人が、あなたにコップ半分の水をくれました。それを見て「半分しかない!」と不満に思いますか? それとも、「半分ももらえた!」と嬉しく思いますか? 同じ水の量なのに、捉え方は人によって異なるもの。ただ、「半分しかない」と考えるか「半分ももらえた」と考えるかによって、健康状態や人生の幸福度も異なってくるのだそうです!
「『半分もある』と考えられた人は、〝ごきげんな人″だと言えます。ごきげんな人は、健康で長生きできる上、未来を切り拓く行動力や発想力、そして良好な人間関係に恵まれると言われています。つまり、ごきげんであれば、人生がよりハッピーなものになると考えられているのです」
と、アンチエイジング医学の第一人者である、慶應義塾大学医学部の坪田一男先生。先生は、幸せは与えられるものではなく、自分で選択するものだと話されています。
「ごきげんだから、上手くいくと私は考えています。どんなときも、喜びや感謝といったポジティブな感情を選び取ることが、幸せにつながる。ごきげんな人は、自分で幸せをつかみ取っているのです」
ポジティブな考え方なら健康で、長生きの可能性大
ごきげんと長寿の関係についてわかるのが、修道女の手記を元にした、ケンタッキー大学のデボラ・ダナー教授の研究。同じ生活でも、ポジティブかネガティブかという考え方の違いで、健康や寿命にも差が出るということがわかったのです。
また、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのステップトー教授が、幸福な人とそうでない人のコルチゾール(ストレスを受けたときに分泌されるホルモン)濃度は、最大で32%もの差があったと発表しています。幸せな人ほど、コルチゾールのレベルが低く、高血圧や高血糖になりにくい上、感染症にもかかりにくく、脳や身体の老化もしにくいとか。しかも、心臓病や動脈硬化など、心血管疾患のリスクが低いことも明らかになりました。ごきげんな人は健康で長生きできることがうかがえます。
いい友人、明るい未来。ごきげんは広がっていく
多くの心理学者や経済学者が「幸せは伝染する」と結論づけています。最初の幸せな人から数えて最大で3人目(友達の友達の友達)まで幸せが伝播することがわかったそうです。それは、幸せな人の周りには自然に幸せな人が集まり、幸せな仲間のネットワークができるということ。そこから、ごきげんな人は人間関係に恵まれると考えられます。
左の図を見てください。上にある3つの四角形で形成された形は、AとBのどちらに似ていると思いますか? これは先述の心理学者フレドリクソン教授の「ポジティブな感情は、視野を広くして想像力を高める」という理論を実証する図。ポジティブな考え方をする人はAを選ぶ傾向が強いのだそう。四角形というパーツを見るのではなく、パーツをつないで完成する形を見ているからだとか。視野を広く持てるということは、例えば、収入が減ってしまっても、ただ節約するのではなく、収入を増やす方法も考えられるということ。目的を達成するために、アイデアを生み出すこともできます。ごきげんな人は、だから明るい未来を築ける、と言えます。
ごきげんな人の子どもはごきげんに育つ
赤ん坊のときのスキンシップがいかに大事かということが、マウスを使った実験で明らかになってきました。実験の内容はこう。まず、世話好きな母親マウスと、無関心な母親マウスに分け、別の母親マウスから生まれた子どもを育てさせます。そして、成長した子どもをプールに落としたところ、無関心マウスに育てられた子どもはパニックになって溺れたのに対し、世話好きなマウスに育てられた子どもは、慌てることなく泳ぎ助かります。その後、溺れた子どもは臆病に育ち、母親になっても無関心に、助かった子どもは勇敢に育ち、世話好きな母親になったのだとか。赤ちゃんにスキンシップが大事なのは、心を安定させるだけでなく、ポジティブで、勇敢、そして愛情あふれる大人に成長させるためだと言えます。
遺伝子レベルの研究で、幸せは2種類あるということが明らかになりました。ひとつは食事やレジャーなどで感じる快楽的な幸せ「ヘドニックハッピネス」。もうひとつは、社会貢献など献身的な行いで感じる幸せ「ユードモニックハッピネス」。自分が楽しむことだけでなく、他者に尽くすことでも人は幸せを感じているのです。また、それぞれの幸せで、"身体を守るための遺伝子"の出現が異なることもわかってきました。前者は炎症を抑える遺伝子、後者は免疫力を上げる遺伝子が出現するそう。今後それをもとに、幸せに関するさまざまな研究が進められるはずです!
涙の量や質が変化して、目の表面が傷ついてしまうドライアイ。副交感神経が優位なリラックス状態であれば涙が分泌されやすいのですが、ストレスなどで交感神経が優位になると涙が十分に分泌されず、乾きやすくなってしまいます。ストレスに強いごきげんな人は、ドライアイになりにくいと言えます。
”ごきげん”は自分で作れます
考え方で人生がハッピーになるなら、ポジティブなほうを選択したい! ごきげんライフに重要な3つの要素をご紹介します。少しずつ生活にとり入れて、ごきげんな毎日を過ごしましょう!
心のエクササイズ
ネガティブな感情に支配されそうになっても、そこから抜け出せる方法が、自然と浮かんでくるようになります!
①自分自身を、高く評価する。
「私は、すごく才能がある!」「私ならできる!」とイメージするだけで、実際の自分もそれに近づけるそうです。自分に対する評価・自信度を"セルフコンセプト"と呼び、それがポジティブかネガティブかで、人生で成功するか否かに大きく影響するそう。評価は特に根拠がなくてもよく、思い込むことでOK。
②嫌なことにも、感謝する。
不満を感じたときには、その原因に “感謝” するようにしましょう。例えば、自分への悪口を聞いてしまったとしても、自分のマイナス部分を知る機会を得られたと考えて。そうすれば、もっと魅力的になる方法を考えることもできます。自分をよりよい人間に成長させる、その機会に感謝しましょう。
③一日の終わりに、 “よかったこと” を思い出す。
一日を振り返って、3つのよかったこと(three good things)を書き出しましょう。 “友だちとおいしいランチを食べた” など楽しかったこと、嬉しかったこと、おもしろかったことを思い出そうとすると、脳が一日の “よいこと” だけを探すようになり、脳内のポジティブな神経ネットワークが強化されるそうです。
④何はなくとも、笑ってみる。
笑うと、脳に楽しいという信号が送られ、ポジティブな思考回路がより強化されるそうです。心から笑うことが一番ですが、最近では、意識的に笑顔を作るだけでも脳が楽しいと判断し、ポジティブな感情が高まることもわかってきたそうです。口角をくっと持ち上げてみるだけでも効果ありです!
食事
身体を作るのは、日々の食事。身体が変われば心も変わります。ごきげんになるためにも食を考えましょう!
①腹八分目で自分を磨く。
食事の栄養素を減らさず、カロリーを制限する “カロリス” 。老化のスピードをコントロールする、長寿遺伝子を目覚めさせるのに有効な食事法ですが、セルフコンセプトをポジティブにするのにも役立ちます。腹八分目にすればカロリーを抑えやすくなります。それでムダな脂肪が落ちてくれば、自信がついて、自分によい評価をしやすくなります。
②タンパク質は過不足なく!
身体に不可欠な五大栄養素は、脳にも不可欠なもの。特にタンパク質はごきげんを作るために大切。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料になるのです。セロトニンの元になるトリプトファンは肉や魚、牛乳、大豆、アーモンド、バナナなどに含まれています。ただし、タンパク質の摂り過ぎは寿命にマイナスな面もあるので、あくまでもバランスよく!
③空腹をごまかす、ティーズフーズを活用する。
空腹状態で食事をすると血糖値が急上昇するので、糖度の低いおやつを食べて空腹をごまかすという方法があります。その時に役立つのが “ティーズフーズ” 。空腹ではないと脳をだます食べ物のことで、ナッツ類、ベリー類などがそれで、実はごきげん作りにも◎。ナッツ類には、脳の働きに関係する油・オメガ3が、ピーナッツや赤ブドウの皮には、長寿遺伝子を働かせるレスベラトロールが含まれています。上手に活用を!
運動
運動することで、心肺機能を上げたり、脳を活性化。目標を達成することで自信がつき、幸福度もアップ!
①運動は、体力のほかに脳細胞も作る
学習や記憶を司る海馬。そこにある、神経細胞の生産に不可欠な"脳性神経栄養因子"が、運動によって増えるのだそうです。アメリカ・イリノイ州にある高校の教師が、毎朝生徒にランニングや自転車などで、運動をさせるようにしたら、成績が飛躍的に伸びたそう。運動は、身体と脳を鍛え、幸福をつかむ力も鍛えているのかも。
②少しキツめの運動が、ストレスに強い脳と心に!
激しい運動は、老化の原因になる活性酸素が発生しますが、それに対抗するための体内環境を作れるようにもなります。心や脳でも同じことがあると考えられ、ストレスに慣れておくと、いざ大きなストレスが振りかかってきても対応しやすくなるはず。少しキツい運動は、ストレスに強い脳と心を作り、幸福度のアップにつながります。
③今日も運動をした!その達成感でポジティブに。
週に2日以上運動をしている人は運動をしていない人に比べて圧倒的にストレスが少なく、幸福度も高いという結果が出たそうです。運動を始めようとしても、三日坊主になってしまうのは着替えなど準備に手間がかかることも要因になるようですが、前日に準備を済ませてそのハードルをクリアして。今日も運動で9きた! という達成感もごきげんには役立ちます。
毎日の行動を変えてボジティブな考え方を持ちましょう
ごきげんになることで、幸せをつかめるのなら、ポジティブな選択をできるようになりたいものですね。そのためには考え方を変える心のエクササイズと、健康で元気な脳のための食事、ストレスに強い脳と心を作る運動で、ごきげんになる力を備えて、ごきげんになる力を高めてより健康で幸せな人生を目指しましょう
参考資料 ROHTO フリーペーパー笑顔健康fufufuより