咀嚼の効能(その4)



こんにちは。ツインデンタルクリニックの呉(おう)です。


咀嚼の効能はまだまだあります!


今日は咀嚼によって「頭蓋骨の歪みを緩和する」効能についてお話します。


まず、頭蓋骨は約20枚の板が絡み合って、丸い形をしています。特に、顎の関節に近い骨の側頭骨、左右の側頭骨の間に蝶のような形をした蝶形骨に、咀嚼は大きな影響を及ぼします。


側頭骨は耳の穴(外耳道)と接しています。咬み合わせによる側頭骨の歪みは、耳の機能、その内側の三半規管(平行感覚を司る場所)に影響がでて、耳が聞こえにくくなったり、立ちくらみなどの症状がでます。




次に、蝶形骨は特徴的な形をしています。文字通り蝶のように羽が薄く、足は細く、それぞれが目の神経や鼻の通りに関係する場所です。



つまり、咬み合わせが悪いと、側頭骨とつながっている蝶形骨の「薄い羽」や「細い足」が容易に歪んでしまいます。結果として、視力低下や慢性鼻炎など、一見、歯とは全く関係ない様々な愁訴があらわれることがあります。

 

さらにこの蝶形骨の蝶の目の辺りに相当する部分は、下垂体という身体のバランスを整えるホルモンがたくさん分泌される場所です。ここに歪みを生じると、不眠、慢性疲労、精神障害などにもつながります。


この歪みを、噛みごたえのあるシリコンのマウスピースによるリハビリでほぐす方法があります(カムラック体操)。実際に、このリハビリを行うと、目、耳、鼻、手のしびれや腰痛など、様々な愁訴が消えたという報告があります。


もし、何か身体の不具合をお持ちでお悩みの方は、一見関係のない咬み合わせからアプローチしてみてはいかがでしょうか。当院では咬み合わせ認定医二人(呉、宮脇)で、咬み合わせの相談をさせて頂いております。


第11回 咀嚼の効能(その3)

咀嚼の効能(その3)

こんにちは

ツインデンタルクリニックの呉(おう)です。


今日は「噛むことでエネルギーバランスを整える」についてお話いします。


 食事の時にカロリーを気にされるかたは多いかもしれませんが、そのカロリーをどのように摂取しているかも大事です。普段、経口で摂取しますが、場合によっては点滴で、あるいは胃ろう(胃に管を通す方法)で摂取する場合もありますが、どれだけ噛んで身体に栄養を送り込むかは非常に大事です。


 例えば、通常、成人男性の必要な一日のエネルギーは2500kcal程度、女性で2000kcal程度ですが、胃ろうでは男性で1400kcal、女性では1100kcalです。

 食事を取ると、食事誘導性熱産生というエネルギーが体内から放出して、エネルギー代謝が起こりますが、口から栄養をとるしかもよく噛むとこの食事誘導性熱産生が多く代謝されます。逆に寝たきりで胃から栄養を摂ると、この熱産生は少なくなり、代謝も著しく低下します。口は「命の入り口」なのです。


 また、歯の本数と栄養素を相関するデータがあります。歯の本数が減ると総エネルギーやあらゆる栄養素のカロリー数は減りますが、唯一増える栄養素があります。何だと思いますか。炭水化物です。炭水化物は軟食のものが多く、柔らかく調理しやすく、しかもタンパク質などより低分子で消化吸収がいいので、歯の少ない人は炭水化物で総エネルギーの不足分を補っていると考えます。

 結果的に歯の少ない人は炭水化物が過剰になり、高血糖、糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。


 歯が少なくても、入れ歯などの人工物でも機能的で噛めるものを入れれば、歯のある方に近い状態で、咀嚼できるようになり、バランスよく栄養摂取が可能になります。


 ちゃんと噛むためのお口(=命の入り口)の環境を整えて、栄養的にも硬さ的にもバランスの良い食事を心がけてみてはいかがでしょうか。